Narrow Gauge Project (HOe 2 1/2,9mm)
The life before computer
2005/1/28
屋小犬軽便鉄道とは
屋小犬軽便鉄道は1980年代の前半に森林鉄道を中心として開業したが、度重なる資金難と経営者の通信事業への鞍替えにより1987年に一旦姿を消した。この廃業により路線は廃棄され車両も逸散してしまった。しかし2003年夏、東京都内の某所に1980年代当時の車両が動態保存されていることが判明。新たな資金と、折からのレトロブームに乗って保存鉄道としての復活を果たすことになった。
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とは書いて見たものの、屋小犬軽便とは1980年代中盤に一時ハマっていたナローゲージ模型群のことです。当時は乗工社という多種多様な軽便鉄道モデルを販売していた会社がありました。しかし残念なことに、この会社は1999年頃には姿を消してしまったようです。私はそれを知らずにいたため20年の空隙はいかんともしがたく、同社製品はオークションや一部の模型店に細々と残存在庫が流通するだけになっているようです。手元にある車両も既に絶版になってしまったようで、20年ぶりにその車両を買った店を訪ねたところ「大事に持っていたほうがいいですよ」と言われました。
それにしても PC に比べて鉄道模型とは枯れている趣味(悪い意味ではなく)だということを実感しました。前述した模型店でも当時の商品や、商品サンプルを散りばめたジオラマなどがそのままの姿でした。しかしそのようなスローライフの中にも技術革新はあり、最近では車両に搭載したマイクロコントローラへ線路経由でコマンドを送信し、同一の線路上に複数の車両を独立して走らせるという20年前の事情を知っている者にとっては離れ業のような技術も生まれているようです。
・ジオラマ製作について
先にこのページを作った時はコルクボードを使用しパイクを作ると書きました。しかし現在は材料も手法も私の頭にあるものとは違った面白そうなものが多々あり、もっと小型のジオラマで模型の手法をおさらいすることにしました。以下は100円ショップで買った食玩のケースに詰所と線路を配置し、適当に地面を仕上げたものです。
- 地面
お茶の水の画材店であるレモンで買った「フォルモ」という石粘度を使用しました。これは紙粘土に似た白色の粘土ですが、比較的収縮が少なく使いやすいものです。木のうしろにある小山はバルサの芯に石を所々接着し、粘土で整形しました。着色はハンブロールを使用しました。
- 草と樹木
ウッドランドシーニックのターフとコースターフを基本としました。所々に生えている草は猫じゃらしとジオラマツリー、麦の種に付いているヒゲ、SILFLORをアクセントとしています。樹木は草と同じくウッドランドシ−ニックのファインリーフフォリッジを整形して立てました。
- ストラクチャ
よく線路際に見られる小型の詰所です。材料はエコーモデルのSTウッドに篠原模型の窓枠を付けてあります。特定のプロトは無く、一応フルスクラッチです。また線路はPECOのナロー用を使用しています。
- その他小物
ほとんど全てエコーモデル製です。詰所裏にあるドラム缶は製品をアルミ箔により型取りをしたもので、へたり加減がなかなか好ましいです。また看板類はエムズコレクションの製品とグリーンマックス製キハ10付属の情景シールを使用しました。
- 車両
写真中にあるのは20年前の残存車両の一部である乗工社ポーター亀の子とナベトロ三兄弟です。ナベトロは前期の真鍮製のものです。塗装が一部劣化していたので新たにマルーンに塗り直しました。
・パイク製作について
当時のレイアウト(450x600?)は廃棄されてしまっているので、残存車両に命を吹き込むべく小ぶりなパイクを作ることにしました。あまり大きなものを作り始めると未完成放置の結末が予想できたのでサイズはφ200mm とし、100円ショップで円形のカッティングボードを購入しレイアウト板としました。鉄道模型の雑誌にはよく「レイアウトに完成無し」と書かれています。私もその例に当てはまりそうなので、手を入れる頻度が減ったのを折に公開することにしました。
正面にはホームと待合室、そして琺瑯(ほうろう)看板盛り沢山の倉庫を配置しました。待合室の看板は全てインクジェットプリンタで制作したものです。また、倉庫にある由美かおるのアース蚊取り線香看板は老神温泉に実在するものを撮影し流用しました。他にもよく見ると、科学教材社の看板が見えます。
裏側には淵を渡るティンバートレッスル(木橋)と石垣を作りました。
車両が走るとこんな感じです。写真中の蒸気機関車は新造車両の乗工社Cコッペルです。これが引くミキストは杉山模型の軽便客車、ワールド工芸の沼尻鉄道セタ(無蓋車)、津川洋行の有蓋車となっています。
- プロトタイプ
ストラクチャのプロトタイプは以下の写真です。倉庫は千葉県千倉町海岸付近にあった漁業倉庫をイメージしました。ホーム上の待合室は老神温泉のバス待合室を参考にしています。
・コントローラ
模型運転に不可欠なコントローラですが、当時の製作記事を見ながら作った PWM タイプのものが出てきました。アルミのへなちょこケースに 2A 容量の重いトランスを入れてありますので、今となっては取り扱いに不便です。(ケースにお金をかけられなかった当時の事情は今でも覚えていますが)
以前はトランスと整流回路まわりを形状小型のスイッチング電源に交換しようと考えていましたが、それでも底抜けケース状態で取り扱いには不安が残ります。それならばいっそのことと考え、同じ回路を現代の部品で作り直すことにしました。容器はクッキーの缶ですが、なかなか小さくまとまったと自己満足に浸っています。