旅行記前半へ
9/26
- Monument Valley へ
Kayenta を8:30AM 頃出発した。Kayenta で買った Indian Music のAncient Voice
という CD を聴きながら、30mile 程北の Monument Valley を目指す。道の両側に巨大な岩山が出現し始め、いやがおうにも気分が盛り上がってきた。カミさんはいまいちピンときていないようであるが、人間の心があれば理解できるはずである。
Monument Valley に入り、Visitor Center で昼食を取る。食事中のハエの多さには閉口したが、世界中から観光客が集まるだけの雄大な景色である。
高解像度版はこれ、壁紙用セピア色版はこれ
- Monument Valley 17miles Drive
まだ日も高いので、ダートのドライブルートである 17miles Drive をまわることにした。背の低い車であるので、下を打たないように注意しつつ運転をした。岩の塊を間近で見る迫力は、言葉では言い表せないものがある。
途中、観光客を載せたジープツアー(Movie)と数多くすれ違った。客席に覆いは無く、客は埃まみれである。ほとんどの人が口にハンカチを当て、ゴーグルまでかけている人も見られた。アメリカ人の物好きぶりは健在である。当初はこのようなジープツアーで夕日を見る計画であったが、子供をこのようなツアーに連れ出すと予想不可能、制御不可能な事態に陥ることが考えられた。家族会議の結果ジープツアーは取りやめにし、その代わり17miles
Drive を車でゆっくりまわろうということになった。以下の写真はルート途中の North Window というポイントから見た風景である。
- Monument Valley Goulding's Lodge
Monument Valley 直近唯一の宿泊地である Goulding's
Lodge にチェックインした。風呂のお湯を溢れさせるという第二の事件も発生したが、何とか片付けることができた。晩飯は
Lodge で取ったが、インディアン居留地である地域ではレストランで酒類の販売ができないらしい。詳しい事情は不明だが、メニューにはノンアルコールのビールとワインのみが載っていた。晩飯を食いながら始めてノンアルコールの
Coors を飲んでみたが、味的には全く問題が無く酔ったような気分にすらなる。疲れているのだろうか??
部屋に戻り、バーボンを水割りにしながら Monument Valley の夕暮れの風景を眺める。夕日は Monument
Valley の反対側に沈むので、岩山が赤い夕日を反射して真っ赤に染まっていた。
9/27
- Monument Valley の朝焼け
Monument Valley から昇る朝日を見ようということで、5:30AM に起床した。Lodge から見ると逆光になるが、Valley
内をよく見ると朝日を観光ツアーの車が早くもうろちょろしているようである。
朝食は、Lodge をチェックアウトした後立ち寄ったスーパー併設のファーストフード屋で取ることにした。上の子供がはしゃぎ過ぎたせいか、食べたものを戻した上、無茶苦茶機嫌が悪い。大事を取って水分を多めに取らせ、先を急ぐことにした。この日の走向予定は200mile
以上ある。
- Mesa Verde
National Park へ
Monument Valley を後にして、州道163号を北へ向かった。途中 Monument Valley を見渡すことのできる場所で休憩をした。素晴らしい眺めであり、この風景を見ることができただけでも遥々車を走らせた甲斐があったというものだ。今度は逆回りで
Monument Valley にアプローチしたいと思った。
高解像度版と、壁紙用セピア色版
途中 Mexican Hat という小さな町を通り過ぎた。案の定近くにそのような形の岩があり、立て札まで立っていた。アメリカお得意の単純名付け方法である。
- Four Corners
ここはかなりマイナーな観光地(と、個人的に思う)である。全米広しと言えども、四つの州が一点で交わるのは、場所だけである。四つの州が交叉する点にはそれぞれの州の旗が掲げられ、中心には記念碑が据えられている。記念碑の真横には写真を取るためのお立ち台まであり、それを囲んで
Indian Jewelry を売る店が軒を連ねている。ふと、州税はどうするのだろうかと疑問に思ったが、この点は未確認のまま。
- Mesa Verde National Park
ここは北米で数少ない人造の史跡が見られる公園である。白人がアメリカ大陸に到達するはるか以前、断崖の途中に町を築いた人類が居たらしい。ほとんどの史跡はレンジャー引率のツアーでないと間近に見ることができない。途中、Cliff
Palace という遺跡に入っているツアーの一団を見たが、岩のすき間をすり抜けて遺跡にアプローチするようであった。梯子を使って出入りする遺跡もあるようであり、太った人は身動きが取れなくなってしまうのではないかとの疑問が一瞬思い浮かんだ。一時期日本で流行したフィールドアスレチックを、ふと思い出した。
公園の中の森は大部分が山火事で焼けてしまっている。ここで山火事は珍しいことではなく、公園内の Visitor Center
には公園で発生した山火事の歴史まで展示してある。最近の山火事は今年の8月末に発生したそうで、その時は23日間に渡って公園が閉鎖になったそうである。公園内の道沿いの看板で、焼け焦げてしまって読めないものもまだいくつか残っていた。
高解像度版と、壁紙用セピア色版
この日は公園内の Far view Lodge に宿泊した。樹が多いせいか、虫の鳴き声が涼やかである。上の子供は車の中でゆっくり寝ていたせいか、だいぶ元気になったようであった。部屋に戻りバーボンの水割りを飲みつつ地図を見る。長いと思った旅行も終盤となった。
9/28
- Mesa Verde National Park
上の子供は早々に寝かしつけたせいか、完全復活した。前日に引き続き公園内をうろちょろした。子連れにレンジャー引率のツアーは無理であるため、唯一徒歩でアクセスできるSpruce
Tree House へ向かった。
徒歩でアクセスできるとは言え、さすがに断崖の途中にある遺跡である。子供を肩車した状態での坂の登り降りは、いい運動になった。ここでは一ヶ所だけ修復した住居の中に入ることができようになっている。階段を登り降りしただけで、気分は古代人と言うべきか。
- Gallupへ
Mesa Verde を出て、Cortez まで戻り、本日の宿泊地である Gallup へ向かった。666号線経由でColorado州から
New Mexico 州へ入り、全米屈指の僻地を含む州に初めて足を踏み入れた。ここら辺の道は、ほとんど真っ直ぐである。運転中に瞑想状態に入らないよう注意しながら、安全運転を心がける。
本日の宿泊先である Best Western へチェックインし、周辺のガイドを眺めてみた。この近所にはUFO 関連の施設が何ヶ所かあるようだ。どうやら、この地域の唯一の観光の目玉は
UFO らしい。UFO 博物館はおろか、国際UFO研究所なる施設もある。一体そこでの日々の研究はいかなるものなのだろうか。
この日の Hotel はHistoric Route 66 沿いにある。この近所にはモーテルは数多く点在するものの、市街地から少し離れたHotelの近くにはロクなレストランが無い。そこで、フロントにナイスな中華料理屋を尋ね
Gallup の市街地で夕食を取ることにした。大きなショッピングモール中にある金龍 (Golden Dragon) というレストランに入ったが、味は全く問題無く、子供も久しぶりの中華料理を喜んで食べてくれた。レストラン内では中国人歌手が唄う日本の曲が
BGM として流れていて、特に中島みゆきの「ルージュ」が耳に残っている。New Mexico まで来て中島みゆきの唄を聞くとは不思議な感じがする。この日は二回目の洗濯をして、早々に寝た。
9/29
- Flagstaffへ
Gallup を出発し、一路40号線を西へ向かう。本日の走行距離は旅程中で一番長いが、ほとんどがフリーウェイ上なので楽であった。Gallup
から Flagstaff への道のりは、ほとんど Historic Route 66 と同一であり、沿道に当時の町並みが残っているようである。
- Petrified Forest National Park
Gallup から2時間ほど車を走らせ、石化した木が見られる Petrified Forest へ入った。ゲートでは英語を理解しない日本人向けに日本語で「公園内の石や木を含む全ての物を持ち出さないこと」という文句を書いてくれと職員に頼まれた。それが本当の目的なのか、それとも外国人観光客にルールを自覚してもらうためかは定かではないが、公園内から木の化石を持ち出す不届き者が絶えないのは事実のようである。そう言えば、自分の前にゲートを通過した車も、長々と待たされていた。ひょっとしたら同じことを頼まれていたのではないだろうか。
Forest と言っても生木はほとんど無く、石化した木の森ということらしい。40号線を挟んで南側が Painted Desert
という、カラフル (とは言ってもアースカラーの) な砂漠が見られる地域になっている。
さらに公園内の道を進み、40号線を越え公園の南側に入ると Petrified Forest の中心部になる。途中道の横にある見晴台から崖の下を見ると、石の化石がごろごろしている。
また、道端にも同じく化石がごろごろしていた。触ってみると、まさに年輪のある石である。
ちょっと進むと、道の横に Agate Bridge という立て札が見えた。立ち寄ってみると、どうやら化石の木が橋のように崖の途中にかかっているようだ。さすが石と言えども歳月による劣化には堪えられなかったようで、現在は下にコンクリートの補強が入っている。ここに設置してある立て札にも、過去にどのような補修がなされているかの説明が書かれていた。
公園を出て、国道40号線へ戻るために国道180号線に入った。何も無く、地平線だけが見える。
- Arizona Crater
Flagstaff へ向かう途中、ちょっと横道へ外れて Arizona にあるという世界で一番新しい隕石孔に立ち寄ることにした。新しいと言っても、この隕石孔ができたのは5万年前らしい。もし四大文明発祥の地に落ちていたら、一つの文明が消え歴史は変わっていたはずだ。5万年前という時期と落ちた場所を考えると、人類は本当にツイテいたと思う。願わくば自分が生きている間は、この幸運が続いてほしいものだ。
入場料の $20 はちょっと高め。アポロ宇宙船の飛行士が月面を想定した訓練を、この隕石孔で行ったらしい。展示物の中にアポロ関連の物が散見された。
- Flagstaff
今晩の宿泊先は Day's Inn である。当初はお隣の COCOS で晩飯を取ろうという話だったが、たまにはステーキも食いたいし、AAA
のガイドブックを頼りに近所をさまようことにした。当初 AAA のガイドブックに近くの Little America という
Hotel 内にある Western Gold Dining Room を考えていたが、Hotel の宿泊客でひどい混雑でありとても予約無しで入り込める余地は無いようだ。早々に断念して、別の場所へ向かう。
ここで、Hotel に置いてある周辺ガイドに書いてあった Black Bart's Steak House &
Music Revue というステーキハウスのことを思い出した。ここは AAA のガイドブックでは二つ星であったが、ちょっと立ち寄ってみることにした。どうやら子供用のメニューもあるようだし、何よりも
"Musical revue provided" というのが気になる。
少し車を走らせレストランとおぼしき敷地内に入る。ここは RV Park の一角にあるらしく、そこかしこに大きな RV車が駐車してある。レストランの中に入ると、そこは予想通りのステーキハウスであり、ピアノの生演奏を聞くことができた。席に座ると、早速カントリーソングの合唱とダンスが始まった。ガキんちょは目を丸くしながら硬直してダンスと唄に見入っている。どうやら落ち着いて晩飯が食えそうだ。ダンスと唄はレストランのウエイトレスとウエイターが担当していて、唄とダンスが始まると給仕が滞ってしまうのだが、そんな事は気にしてはいけない。アメリカ片田舎のカントリーな雰囲気を満喫することができて、大満足であった。
教訓 : 唄とダンスは子供をおとなしくさせるには効果的。ただし、ダンスを自分で踊ることに興味を持つまでは。
9/30
- Las Vegas へ
Flagstaffを出て一路国道40号線を西へ向かい、本日は最後の宿泊地Las Vegasへ戻る。唯一 NevadaとArizona
の州境にある Hoover Dam を除いて、途中これといったランドマークは全く無い退屈なドライブが続く。昼飯はRoute
66 沿いの Kingman という町で中華料理を食った。ガキんちょ供は相変わらず散々食い散らかしたが、デザートのアイスクリームで機嫌を良くしてくれたのが唯一の救いである。
Hoover Dam は相変わらず観光客で混雑している。外はとても9月末とは思えないような暑さで、毛むくじゃら上半身裸の野郎が闊歩している。見てはいけないようなものを見てしまったような気になった。
Hoover Dam を過ぎると山岳部時間帯から西海岸時間帯へ入り、時計の針を一時間遅らせた。Arizona州に入った時と同じく、時間帯が変わったことを示す看板が立っているだけ(Movie)である。
- Hotel Treasure Island
今回の旅行二回目のLas Vegas での宿泊先は Treasure Island である。ここはイギリス船と海賊船が砲弾を打ち合うショーが毎日夕方から行われており、誰にでも無料で公開している。早速見に行くことにした。
ショー自体は 15分程度の短いものであるが、砲弾が飛び交う音響効果と爆発の演出(Movie)はさすが
Las Vegas のショーである。上の子供は肩車の上で延々と泣き続けていたが、ショーが終わると拍手をしていた。この歳から女の子の涙というのはコントロール可能なのだろうか。
何はともあれ、会場のそこかしこで驚いた子供が泣き叫んでいた。結局は海賊船が会心の一撃を放ってイギリス船を沈めてしまうという結末であるが、悪役に花を持たせるストーリーは
Treasure Island だからだろうか。ショーが終わった後、会場の隅で母親にあやされている涙ぐんだ子供が多く見られた。
この日は Hotel のバッフェで夕食を取り、部屋に戻ると旅行中に撮影したビデオを見ながらバーボンの水割りを飲んだ。次にLas
Vegasへ来られるのはいつになるだろうかと、街中のネオンを見ながら考えた。
上の写真の高解像度版と、セピア色版
10/1
- 再び SanJose へ
来た時と同じく、8:20AM の便で SanJose へ戻る。途中レンタカーを返却したが、後部座席のチャイルドカーシートを取り除くと、ご機嫌取り用にガキんちょ供に与えたお菓子の破片と、ミルクの混合物が堆積し、地層のような様相を示していた。とりあえずレンタカーを返却する時に一言この件と、先に書いた車体の傷の件をレンタカー会社の職員に言ったが、ノーマルだと言われ何のペナルティも無いようである。ひどい汚れや傷はペナルティの対象だと聞いていたが、それはどの程度なのだろうか??
今回の旅行では大きなトラブルも無く順調だった。確かに子供の健康具合はそれぞれの家庭で事情が異なるだろうが、我が家ではとりあえず長期旅行に子供を連れ出すのは問題なさそうである。最後の問題は、ガキんちょ供がこれに恩義を感じて覚えていてくれるかどうかだ。あまり期待はしていないが。
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