SAYONARA USA

Last Christmas Illumination

12/16/2000

きっかけ

 年末最大のイベントであるクリスマスまで、残り10日を切った。ご存じのように北米では、国を挙げてクリスマスを楽しむ。この時ばかりは米軍の北米防空司令部(Norad)も「サンタの追跡」をやって、一味添えることになる。私はこのイベントが大好きで、日本に住んでいたときも酒を飲みながら時々刻々と変化するサンタの居場所を眺めるのがお約束だった。

 さて、去年のクリスマスは特にこれといって変わったこともせず、窓の内側に気持ち程度の電飾をするに留まった。しかし、今年はなんと言っても北米で過ごす最後のクリスマスである。例によって異文化体験の一環として、気合を入れて家の電飾に挑戦した。

準備と設置

 大体の資材は近所のスーパーや電気屋、ホームセンターで手に入る。まずは電飾に使う電球が必要である。これは近くの電気屋で長さ10feet (約3m) のものを、値段約$8.00- で購入した。(クリスマス直前なので割引価格) これを4セット購入し、去年購入した電球と合わせて使用した。

 何とエジソンが設立したGE (General Electric) 社製である。エジソンも自分の発明がこのように使われることを想像しただろうか。

 これは電飾を制御する光センサ兼タイマーである。日が落ちると自動的にスイッチが入るようになっている。また、スイッチが入った後に一定時間後に自動的に切れるようにもできる。お値段は約 $9.00- である。これを以下の写真のように、屋外にあるコンセントに設置する。ここまでは、極めて簡単だ。

 さて電球の設置であるが、これが家の大きさと相まって骨の折れる作業である。家の軒下の部分にU字型の釘を使い電球とそのケーブルを固定する。この家は築30年程度の借家であるが、軒下の部分に無数に釘を打った跡が残っていた。やはり過去の住人がクリスマスやハロウィンの度に釘を打ったのだろうか。

 ガレージの上の部分はえらく高いところに釘を打たねばならず、車の上に立って作業を行った。腰が痛くなり、日頃の運動不足を実感する瞬間である。腰回し運動をしながら作業を続ける。

 なお電球は一本では長さが足りないので、数本シリーズで接続して使うことになる。接続部分は抜けないようにタイラップで固定した。

 以上で一連の作業は終わりである。実作業時間2時間程度を二日間に分けて行った。全ての電球が正しく点灯することを確認し、日没を待つ。

完成

 日が暮れ、気が付くと光センサのスイッチが入って電飾が点灯していた。苦労が報われる瞬間である。昼間見ると余った電線が丸めてあったり、お世辞にも美しいとは言えない。しかし夜は余計なものが見えないのでなかなか奇麗である。手前味噌なコメントがすぐに出てくるのは、自分がアメリカナイズされたからかもしれないが、とりあえずは以下の写真を見てもらいたい。

最後に

 さて、自分の家が片づいたところで、偵察も兼ねてご近所さんの電飾を見て回ることにした。同じストリートにあるこの家は、毎年気合いの入った電飾で近所の注目を集めている。

 次の写真は上の家の対面の家である。ここはカラフルな電球を点滅させている。大体この程度の電飾が平均的であるようだ。

 最後は少し大きな通りに面したところにある家の写真である。この時期は、このような電飾を眺めながら帰宅することになる。California は日本のようなはっきりとした四季が無いが、それだけ住人自身で季節感を盛り上げることに長けていると思う。これも立派な季節感ではないだろうか。

 なお、Silicon Valley はハイテク市場の好況を受け、年々人が流入している。自分が住んでいる Sunnyvale市はそれほどでも無いのだが、お隣のCupatino市は学区のレベルが高く、特に就学児童を持つ家庭の人気の的だ。子供が居るということは自然と電飾にも気合いが入るのだが、これが近年季節的な問題を引き起こすネタになっている。

 前にも述べたように、Silicon Valley では好景気の為に雨後の筍のようにオフィスや住宅の建設ラッシュが続いている。それに伴って表面化してきた問題が深刻な電力不足である。この時期は特にクリスマス用の電飾に使われる電力も無視できず、PG&E (Pacific Gas & Electric) がクリスマス用電飾の自粛を訴えるまでに至った。事実先週の末、家から数ブロック離れた Cupatino のアパート群が集中する地域で電力不足の為に一時間ほど停電が発生した。これが電飾が引き起こした停電かどうかはわからないが、発生時間は日没後の丁度電飾や室内照明が点灯する時間と一致していたようだ。

 我が家もこの自粛要請に答え、クリスマスの電飾を点灯している最中は、家の中にある300Wのハロゲン電球を使ったフロアスタンドを二つ使用中止にしている。電飾のワット数ととんとんの節電効果だが、PG&Eは理解してくれるだろうか。